おつきあい   ― 拍手(1)―

昔話はこのぐらいにしておこう。

ここしばらくオーケストラの演奏会聴きに行ってないから最近はどうなのか知らないが、数年前ある楽団のコンサートに定期的に通った時期があった。

そのときよくあったことなのだが、演奏が終わって聴衆が拍手する、そのとき指揮者がまずコンマスと握手し、次いでオケの楽員をパートごとに立たせて自分がそちらへ向いて拍手する。

そうすると我々聴き手の方もおつきあいで拍手することになり、それがどのパートもなので延々と続く。しまいに手がだるくなってくる。

ええ加減にやめてほしいと思うのだが、かといって拍手が続いている最中に席を立って帰路を急ぐ勇気もない。

これが、指揮者が客演のひとならわからないこともないが、みんな同じ団の、いわば身内なのだから仲間内の褒め合いなのだ。

 僕の足が演奏会から遠のいていった一因と、今では思っている。 

2020.12.01